Sing Smile Essence

『ころぼっくる』という、
妖精が
北海道の森の奥深くに住んでいるらしい。


この妖精は、
とても
いたずら好きの
かわいい妖精だそうです。


人の物を
勝手に取っちゃって
別の場所に隠したりしちゃうんですって。


私が幼い頃
近所のお友達の家に遊びに行って
おままごとをしていたら
髪の毛が、やたら邪魔に感じて
気づくと、いつもの『パッチンどめ』をしていない。（当時は、そう呼んでいた）

「ぱっちんどめ、取ってくるね。」
と言って
家に帰った。

いつも、置いている場所・・・・には、ない。
食卓テーブル・・・・・にもない。
お母さんの鏡台・・・・・にもない。
テレビの上・・・・にもない。

うちの母は、
家の中をすっきり片付ける方なので
すぐに、見つかりそうなものだけど

ない、ない、どこにもない。

でも、私は、髪が邪魔くさいのは嫌だったので
もう一度
同じ順番で探した。

それでも、ない。

こうなると
半ば、『探す』ことに
意地になって

三度、同じ順番で探した。


く～っ。
やっぱり、ない。

気がつけば、
もう、夕刻。
台所の窓から、西日が射し込んでいる。

と、その時
台所の食卓テーブルの上に
キラッと光る物を見た。

おやっと思って
近寄ってみると


ありました。


私が散々探し回っていた
『ぱっちんどめ』が。

西日を受けて
綺麗にキラキラと光っている。

「ほら、私は、ここにいるじゃない。うふふ。」

と笑っているよう。


信じられませんでした。
そこに、ぱっちんどめが、あるなんて。
だって、
食卓テーブルの上は
それこそ、何度も見たところです。

すっきりと片付いているテーブルの上には
お箸立てと湯呑セットしかありませんでしたよ、何度見ても。


私は、
不思議で
不思議で
なりませんでした。

それから
何年もたって
小学校の図書館で読んだ『ころぼっくる』の本

それを読んで
私は、幼いころの謎がようやく解けたのです。

あれは、ころぼっくるの仕業だったのね。

きっと、私が
ここでもない、あそこでもない
と、探しまわっている時
どこか棚の隅っこで
くすくす笑いながら、見ていたのかもしれません。


今でも、
あれ～、ここに置いた筈なんだけどなあ。
の、探し物をしている時
心の中で
ちらっと思う。
（ころぼっくるさん、どこに隠したの？）

笑っちゃいけませんよ。
あの、偉大なる
ユーミンも言っていました。

『この世界は、見える世界と見えない世界がある。
見えない世界の方が、より多く存在している。』

って。


あ、別のことで笑っちゃっている人もいましたか？
なを美さん、それは、
単なる、歳のせいですよ
って。